社員全員が”Consumer First, always(常にコンシューマーファースト)”でつながり、生活者のためにひとつになる ― Win as One

齋藤 朋子/Marketing Director, North Asia
日本および韓国のマーケティング部門を統括するマーケティングディレクター。日本ではオーラルヘルスケア製品、OTC医薬品のマーケティング責任者



今回は、マーケティング責任者の立場から、Haleonが掲げるWin as One戦略についてインタビューを行いました(2026年2月)。


-Haleonは2025年にWin as Oneという新しい戦略を発表しています。Win as Oneについて詳しく教えてください。

Win as Oneは2025年にGlobal全体で発表されたHaleonの新たな戦略であり、その中核を成すストラテジックドライバーは4つです。Health in More Hands(健康をより多くの人の手に)、Superior Brands(優れたブランド)、Wired for Excellence(エクセレンスへの連携)、そして Full Potential People(ポテンシャルにあふれた人財)が、当社の成長と価値創造を支える重要な柱となっています。

Win as Oneが従来の戦略と何が異なるのかを考えたとき、私たちが目指す“より多くの人々に日々の健康を届ける”という根本的な方向性は変わっていません。しかし大きな違いは、社員の行動指針として「Consumer first, always(常にコンシューマーファースト)」をより強く打ち出し、組織全体が製品の原材料の調達、製品の製造から実際購入いただく生活者の手に届くまでの過程を包括的に考え、行動する視点を持つ戦略(End to End)へと進化した点にあります。

コンシューマーファーストは非常に包括的な概念であり、部門によって「コンシューマー」の定義が異なります。
例えば、マーケティング部門にとってのコンシューマーは製品を使用する生活者ですが、ドラッグストア等向けの企画を考える部門にとってはお買い上げをいただくお客様(ショッパー)が主な対象となります。このように多様な視点が存在する中で、全ての部門が共通のEnd to Endのコンセプトを持つことが極めて重要です。
Win as One戦略のもとで、部門横断のコラボレーションが促進され、スピード感を持って成果を創出できるように努めています。結果として、個人の力を超えた価値の創造が組織として実現できるようになります。


-「Consumer first, always(常にコンシューマーファースト)」という行動指針をマーケティング部門ではどのように落とし込んでいるのですか? 「Consumer first, always」を体現した成功事例はありますか?

マーケティング部門には、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっており、必ずしも全員が今までのキャリアの中でHaleonの目指すコンシューマーマーケティングの考え方で実務を行ってきたわけではありません。
そのため、まずは部門内で「コンシューマーマーケティングとは何か」について共通認識を持つことが重要だと考えています。
コンシューマーファーストとは、生活者の声を起点に考えることですが、単に意見をそのまま反映することではありません。
ブランドとしての考えや方向性を踏まえ、消費者インサイトとブランド戦略のバランスを取ることが重要です。

また、ビジネスにおいては、ビジネスパートナーやドラッグストアなど多様な視点や要望が存在します。
その中で、関係部門と連携しながら最適な判断を行い、関係者を巻き込んで進めていくことこそが、真のコンシューマーファーストにつながると考えています。
弊社のマーケティングでは、グローバルチームとのコミュニケーションが非常に多く、日本の生活者にとって何が最も大きなニーズで重要なのかを理解してもらうことも重要です。
例えば、昨年発売した「シュミテクト フューチャーホワイトケア」は、グローバルでは別の製品名で販売されています。
しかし、日本市場ではそのままのグローバル製品名を採用することが難しい理由が2つありました。
1つ目は、日本の生活者にとってグローバルの製品名では直感的に製品特長が理解されにくいこと。
2つ目は、日本では薬事的な規制も踏まえて表現できない内容でもあることです。
そこで、グローバルチームの意図を尊重しつつ、日本の生活者に最も意図が伝わる名称を検討し、「フューチャーホワイト」という名前にたどり着きました。「未来まで見据えたホワイトニング」というメッセージを込めた製品名であり、日本市場に適した形でブランド価値を伝えることができました。

グローバルチームから提案がある際には、日本の生活者理解や市場特性を丁寧に共有することで、双方の理解が深まり、より良いコラボレーションにつながります。実際、グローバルチームが毎年日本を訪れる際には、日本の生活者をより深く理解してもらうための機会を積極的に設けています。様々な実際の生活シーンに触れてもらうことで、言葉だけでは伝わらないリアルなインサイトを共有しています。

こうした取り組みを通じて、コンシューマーファーストの考え方は日本のマーケティング部門だけに留まるものではなく、グローバルチームと共通の信念として育まれていくべきものだと実感しています。
グローバルとローカルが協業して、生活者のニーズの共通点や違い、ブランドのアイデンティティなどを一緒に探求することで、学びが非常に多く得られます。


-”Superior Brand(優れたブランド)”を実現するために、製品開発やブランド体験で最も注力しているポイントはどこですか? そして今後どのように進化させたいですか?

近年「Superior」という言葉を耳にする機会が増えていますが、しばしば“今より進化したものをつくる““新しいベネフィットを追加する”といった発想に偏りがちです。しかし、Superior Brandの本質は「By Consumer Lens」、つまり生活者視点で優れていると認識されて初めて成立するという点にあると感じます。私たちがどれほど製品を進化させたと感じていても、生活者がそれをSuperiorだと受け取らなければ価値が薄れると考えています。
生活者は、日常的に弊社のブランドのことを考えているわけではありません。そのため、製品がどのように変わったのか、新しい価値が何なのかを確実に伝えることが重要です。製品設計の段階からコンシューマーレンズを取り入れるために調査を行い、なにが求められているのかの理解を深めています。
Superiorには、製品自体、コミュニケーション、店頭での表現など、さまざまな側面があります。すべてが重要である一方で、どこにフォーカスするかを明確にすることが成功の鍵だと考えています。新製品を発売する際には、すべてをSuperiorにしたいという思いがあるものの、様々な視点で優先すべきポイントが変わるため、強化すべき領域を見極めて取り組んでいます。


-ご使用いただいている生活者から寄せられた声やフィードバックの中で、Haleonが掲げる“Consumer first”を感じるエピソードはありますか。その出来事が社内のカルチャーやチームの行動にどのような影響を与えましたか?

製品の開発や広告に向き合っているときは、自分の仕事がどう生活者の方にインパクトを与えるかは、まだ想像の域を超えません。しかし、生活者から寄せられる声-「大好きなアイスが知覚過敏でなかなか食べられなかったので、シュミテクトを使い始めました」や、ポリグリップをご使用されている方から、「本当にありがとう。とても使いやすくて、食事が楽しみになりました」というようなハガキをいただいたこともあり、製品は生活者の毎日にどのようなポジティブなインパクトを与えているのかに触れると、Haleonの製品がどれほど人々の生活を支えているのかを実感し、大きな励みになります。自分たちの仕事の意義を改めて思い出させてくれる瞬間でもあります。

コンシューマーファーストの考え方が社内で提唱された際、私はアジア地域の社内イベントのリードを担当しました。社員が生活者の声に積極的に触れるコンテンツとゲームでコンテストを行い、店頭でのお客様の行動を確認したり、棚での製品の置かれ方を確認したりと、多くの部門の社員がさまざまな体験を通じて参加してくれました。

特に印象的だったのは、マーケティング部門以外から寄せられたアイデアの質の高さです。マーケティングだけでは生まれない視点が多く含まれており、最終的には日本チームのアイデアが上位に選出されました。社員自身が“生活者として当事者になる”機会をつくれたことは非常に有意義で、生活者の声を起点にしたアイデア創出の裾野が広がったと感じています。
これは社員全員がコンシューマーマインドを持って考えるからこそ実現できた取り組みであり、このようなカルチャーを育てたいと考えたとき、このイベントでのアクティビティは非常に良いきっかけになったと感じています。



-齋藤さんにとっての「Win As One」は? 今後どのように社内でカルチャーを進化させていきたいですか。

Haleonが「Deliver better everyday health with humanity(もっと健康に、ずっと寄りそって)」というパーパス、日々の健康をより多くの方にお届けすることを掲げる中で、私たちは常に生活者を起点に物事を考えています。生活者にとって総合的な最適解を導き出すことが重要であり、その答えは実は私たち一人ひとりの中にあると感じています。

人々のニーズを理解するなかで、生活者自身が気づいていない課題を見つけ出すことも私たちの強みです。例えば、年齢を重ねるにつれて、外見の変化と同様に、口腔内でも変化が起きていることに気づく方は多くありません。唾液量の変化や歯茎のトラブル、エナメル質の減少による歯の黄ばみなど、生活者が気づきにくい領域を科学的根拠に基づいてお伝えすることで、よりセルフケアに役立つ情報や製品価値を提供しています。Haleonには非常に素直で実直なカルチャーがあり、社員ひとりひとりが物事に真摯に向き合う姿勢が根付いています。だからこそ、生活者理解を深めながら、私たちの持つサイエンスや専門家の知見を組み合わせ、確かな価値を持つ製品を届けることができています。

社内カルチャーは非常にフランクで、誠実な方が多いと感じています。オープンに議論できる環境が整っており、「Collaborate for impact(インパクトのためのコラボレーション)」という行動指針が自然と浸透しているため、皆でより良い方向に進むための対話が活発です。また、失敗事例の共有を通じて次に活かす取り組みも行っています。

私が特に好きなのは、会社のパーパスと社員の価値観が一致している点です。「健康」自体に信念を持つ社員が多く、ランニングやマラソンをはじめとしたスポーツに取り組む人や、柔軟な働き方を通じてウェルネスを大切にする人が多いことにも象徴されています。社員の心身の健康を重要視することが根付いており、ひとりひとりの社員が大切にされている会社だと実感しています。